平将門ゆかりの地でワインを造る|茨城・坂東「びーどろワイナリー」を訪ねて

東京から電車で約2時間、茨城県坂東市へ。平将門ゆかりの地として知られるこの場所で、地域に根ざしたワイン造りに取り組む「びーどろワイナリー」を訪ねました。

目次

びーどろワイナリーとは?

「びーどろワイナリー直売所&バル」では、ワインやお食事を楽しむことができます。訪問時には、さまざまな種類の朝採れブドウも店頭に並んでいました。

びーどろワイナリー | 茨城県坂東市 | wine

茨城県南西部、豊かな田園風景が広がる坂東市にある「びーどろワイナリー」。平将門ゆかりの地として知られるこの土地で、地域に根ざしたブドウ栽培とワイン造りに取り組むワイナリーです。

平将門公ゆかりの地が数多く残る坂東市。将門公の胴体が葬られたと伝わる、延命院の「胴塚」。首は京都へ送られたとされ、現在は東京・大手町に「将門塚(首塚)」があります。
将門公を御祭神として祀る「國王神社」。将門公の終焉の地と伝わる坂東市に鎮座し、将門公の三女・如蔵尼が父の霊を慰めるために創建したと伝えられています。

びーどろワイナリーの歩みが始まったのは2021年。地域の協力を得て畑を借り、試験的にブドウ栽培とワイン造りをスタートしました。少しずつ畑を広げながら取り組みを続け、現在は自社ワイナリーを構えています。

Ryoko

2026年9月上旬に訪問した際には、稼働を控えた新しい醸造所も見学させていただきました。記事公開時には、ここでのワイン造りが始まっているかもしれません!

「びーどろワイナリー直売所&バル」と同じ敷地内にある、稼働前の新しい醸造所。これからここでワイン造りが始まります。

ワイナリーを運営する株式会社海音社は、もともと障がいのある方の自立支援や、子どもたちの発達支援などの福祉事業に携わってきました。そのなかで、将来の仕事の選択肢を広げる方法のひとつとして農業に着目し、出会ったのがワイン造りでした。現在はブドウ栽培やワイン造りを通して、福祉と農業、そして地域をつなぐ取り組みを進めています。

ワイナリーの自社畑ではマスカット・ベーリーAやメルロー、ヤマ・ソーヴィニヨン、シャルドネ、コリーヌ・ヴェルト、甲州などを栽培し、草生栽培や減農薬栽培にも取り組んでいます。また、山梨県勝沼の栽培家・小川孝朗氏からブドウ栽培の監修を受け、勝沼産のブドウもワイン造りに使用しています。

写真中央は、びーどろワイナリー代表の平林幸恵さん。小説の執筆やドラマ制作に携わるほか、坂東市の観光大使としても活躍されています。地域の子どもたちやさまざまな課題を抱える人々にとって、ワイナリーが新たな可能性や未来につながる場所になることを願い、取り組んでいらっしゃいます。今回の訪問では、坂東市の魅力についても案内していただきました。

「びーどろ」という印象的な名前にも、ワイナリーの思いが込められています。自然の作用によって生まれる色とりどりのガラス状のもの「びーどろ」に、これからさまざまな才能を花開かせていく子どもたちの姿を重ねて名付けられたそうです。

ワインを造るだけでなく、ブドウ畑を通して人が集まり、地域とのつながりを育んでいく。そんな背景を知ると、びーどろワイナリーで過ごす時間や、そこで造られるワインもまた少し違って見えてきます。

ブドウ畑を見学&収穫体験

ブドウ畑へ。

マスカット・ベーリーAやブラック・クイーン、ノートン、コリーヌ・ヴェルトなど、この土地への適性を試すため、多岐にわたる品種が栽培されていました。

ブドウ栽培では、野生動物による被害も悩みのひとつだそう。

収穫を目前に控えていた区画では、アライグマによる被害が発生。実ったブドウがきれいに食べられ、房の果梗だけが残ってしまうほどだったといいます。この被害を受け、ほかの区画でも獣害への対策を強化。大切に育ててきたブドウを収穫まで守ることも、栽培における重要な仕事のひとつです。

ワインジャーナリストの瀬川あずささん(左)と一緒にシャインマスカットを収穫。

そして今回は、ちょうど収穫期を迎えていたシャインマスカットの収穫も体験。房を支える太い果梗は硬く、ハサミを入れるにも力が必要。実際に収穫してみることで、普段何気なく食べているブドウの一房が、丁寧な作業を経て収穫されていることを実感しました。

粒が大きく、甘くてジューシーで美味しいシャインマスカット!

ワイン用ブドウから食用ブドウまで、実際に畑で見て、触れて、味わう。ブドウが育つ場所を肌で感じられる貴重な時間となりました。

別邸で地元の方々と囲む、にぎやかな夜

びーどろワイナリー別邸の古民家のお庭でバーベキュー。鮎の塩焼きやイノシシ肉、ネギの一本丸焼きなど、地元ならではの食を楽しみました。坂東市はネギの産地としても知られ、あちこちでネギ畑を見かけました。

夜は、びーどろワイナリーの別邸へ。地元の方々も集まり、バーベキューを囲みました。鮎やイノシシ肉など、この土地ならではの食材も。もちろん、合わせるのはびーどろワイナリーのワインです。

甲州ブドウと、甲州から造られる「ゆめっぷの祈り」。ブドウを味わいながら、同じ品種から造られたワインを楽しめるのは収穫時期ならでは。
甲州から造られるスパークリングワイン「水色の星しぶき」。名前の響きと、爽やかなラベルデザインも印象的です。
シャルドネとコリーヌ・ヴェルトから造られる「田園の笑顔」。軽やかで、スルスルと飲み進めてしまう親しみやすい味わい。

食事のあとは、お部屋の中へ移動。ギターの弾き語りが始まり、地元の皆さんとおしゃべりを楽しむ。初めて訪れた場所なのに、どこか懐かしい。そんな不思議な居心地のよさを感じながら、ワインを通して地元の方々と交流できた、心に残る夜となりました。

甲州から造られるオレンジワイン「リコリスの手紙」
平将門の幼名「小次郎」にちなんで名付けられた、マスカット・ベーリーAの赤ワイン。果実味が心地よく、とてもチャーミングな味わい。

びーどろワイナリーバル名物「将門丼」

「将門丼(豚角煮丼&野草添え)」。ご飯は茨城県南西部の特産「さしま茶」で炊き上げられ、豚の角煮と彩り豊かな野菜が添えられています。

翌朝は、ワイナリーに併設された「びーどろワイナリーバル」へ。ワインのテイスティングはもちろん、地元の食材を使った料理なども楽しめるスペースです。

朝食にいただいたのは、坂東市とゆかりの深い平将門にちなんだ「将門丼」。びーどろワイナリーのロゴにも取り入れられている「九曜紋(くようもん)」をモチーフにした一品です。

地元のお茶で炊いたご飯の上、中央には角煮、その周りには8種類の野菜が彩りよく並び、中央の一つを八つが囲む九曜紋を丼で表現しています。

さらに、「風の子ベルジュ」というノンアルコールのぶどう酢ドリンクもいただきました。甘酸っぱく爽やかな味わいで、すっきりとした飲み心地。

グリーンハーヴェストで摘み取られ、本来は廃棄されてしまう未熟ぶどうを活用して造られたぶどう酢「風の子ベルジュ」。

ワインを通して、坂東の土地と人に出会う

個性豊かな、びーどろワイナリーのワインラインアップ

今回の訪問では、ブドウ畑やワイナリーを巡るだけでなく、平将門ゆかりの史跡を訪ね、地元の食を味わい、地域の方々と交流する時間にも恵まれました。ワインをきっかけに、その土地の歴史や文化に触れられるのも、坂東を訪れる魅力のひとつです。

Ryoko

ワインと歴史に触れる坂東の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
びーどろワイナリーのイベント、ワインなどの最新情報は、公式サイトやInstagramをご確認ください。

びーどろワイナリー
所在地:茨城県坂東市辺田994-1

公式サイト:びーどろワイナリー | 茨城県坂東市 | wine
Instagram:びーどろワイナリー公式Instagram

この記事を書いた人

元国際線CA
WSET® Diploma
WSET® Level3 Decanter Prize受賞
日本ソムリエ協会認定ソムリエ
日本ソムリエ協会認定SAKE DIPLOMA

目次