フジクレールワイナリー訪問|山梨のテロワールを味わう。新たな醸造哲学が息づくワイナリーへ

フジクレールワイナリー | 山梨県甲州市勝沼町のワイナリー

山梨県甲州市勝沼町にあるフジクレールワイナリーを訪問しました。

1963年創業の老舗ワイナリーですが、2023年を境にそのワイン造りは大きく変化しています。ニュージーランドの醸造家テオ・コールズ氏をスペシャルアドバイザーに迎え、自然酵母を活用した醸造や亜硫酸添加を最小限に抑えるなど、世界の潮流を取り入れた新たな挑戦をスタート。伝統を守りながらも、未来に向けて進化を続けています。
※テオ・コールズ氏は、ニュージーランド・ノースカンタベリーを拠点に、自身のワイナリーブランド「The Hermit Ram(ザ・ハーミット・ラム)」を手がける醸造家。

今回の訪問では、醸造担当の杉尾さんのご案内で醸造設備やトンネルカーヴを見学。その後はラウンジへ移動し、テイスティングを楽しみながら、営業部の望月さん、杉尾さんにフジクレールワイナリーの取り組みやワイン造りについてお話を伺いました。

フジクレールワイナリーでは、ワインをゆったり楽しめるラウンジと、ワインやオリジナルグッズが並ぶショップを併設。ご案内くださったフジクレールワイナリーの皆様と
目次

世界の潮流を取り入れ、新たなステージへ

2023年以降は、よりナチュラルなアプローチを取り入れたワイン造りに取り組み、ブドウの個性を生かしたスタイルへと進化しています。

1963年創業のフジクレールワイナリー。2023年を境に大きな転換期を迎えました。ニュージーランドの醸造家テオ・コールズ氏をスペシャルアドバイザーに迎え、自然酵母を活用した醸造や低亜硫酸など、新たなスタイルへの挑戦が始まっています。

ブドウとワインにストレスを与えない「グラヴィティ方式」

ワイナリーでは、仕込みから瓶詰めまで重力を利用する「グラヴィティ方式」を採用。ポンプを極力使わず、ブドウに余計な負荷をかけない醸造を行っています。プレス機への移動も人の手で行うなど、品質への細やかなこだわりが随所に見られました。

高品質を支える畑へのこだわり

ワインの品質を決めるのはブドウ。フジクレールワイナリーでは、主力となる北杜市明野町の自社畑をはじめ、標高が高く寒暖差に恵まれた畑でブドウを栽培しています。標高約700mに位置する明野ヴィンヤードは、日本一の日照時間・日照量を誇り、凝縮感のある果実を育む理想的な環境です。カベルネ・ソーヴィニヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、シラーなどが栽培されています。さらに、圃場の拡大や品質向上、甲州のJAS認証有機栽培にも取り組みながら、気候変動に対応し、その土地ならではの個性を表現するワイン造りを目指しています。

明野ヴィンヤードで栽培されたブドウから生まれるワイン「百千(Momochi)」シリーズ。入手困難です。
ひんやりとした空気が漂う「トンネルカーヴ」では、約8万本のワインが静かに瓶内熟成中。

ブランド刷新と「クラノオト」シリーズ

2023年には社名変更とともにラベルデザインも一新。「クラノオト」シリーズでは、特徴的なラベルを採用し、そのラベルに対応できるよう機械設備も刷新しました。
ワインにとって最も大切なのは中身の品質であることを前提としながらも、お客様が商品を手に取った瞬間の高揚感や、ときめきも大切にしているといいます。ラベルやボトルデザインにもこだわり、ワインを選ぶ時間そのものも楽しんでほしいという思いが込められています。

無濾過でフレッシュな味わいが特徴の「クラノオト」シリーズ。ジュージーでわずかな炭酸を楽しめる。ピーチ、ナイアガラ、デラウェア、キウイ、甲州、5種類のラインアップ。雲のような特殊なラベルを貼る作業を見学。

トップキュヴェ「百千(Momochi)」に込めた未来への想い

「百千」という名前は、「100」と「1000」を組み合わせて名付けられました。ラベルデザインでは、上の円が「100」、下の円が「1000」を表しています下の円は上の円の10倍の大きさでデザインされています。

「100年続くワイナリー、1000年続く会社を目指したい」。そんな想いから生まれたトップキュヴェ「百千(Momochi)」。未来の子どもたちへ自然環境を残したいという願いも込められています。

世界から注目される日本ワインへ

お土産に購入しました!

フジクレールワイナリーの「スパークリング甲州2023」は、ロンドンのミシュラン星付きレストランでも採用されるなど、海外からも注目を集めています。

フジクレールの魅力を味わい尽くすテイスティング体験

※本記事で紹介しているテイスティング内容には、見学ツアーに含まれるワインに加え、有料で追加試飲したワインも含まれています。

見学の後は、フジクレールワイナリーのワインをテイスティング。主力ワイン「フジクレール」シリーズやトップキュヴェ「百千(Momochi)」などを通して、現在のワイン造りの方向性を体感しました。

印象的だったのは、果実味を大切にしながら、過度な抽出や樽香に頼らないナチュラルな味わい。自然酵母や低亜硫酸、ブドウに負荷をかけないグラヴィティ方式といった醸造哲学が、グラスの中にも表れているように感じられました。

また、甲州やマスカット・ベーリーAなど、日本固有品種の個性を生かしながら、世界のトレンドも取り入れたスタイルは、新しい魅力を感じさせます。

「スパークリングシャルドネ2024」(右)とロンドンのミシュラン星付きレストランで採用が決定した「スパークリング甲州2023」(左)

「スパークリングシャルドネ2024」「スパークリング甲州2023」
ラベルは初夢に縁起が良いとされる「一富士二鷹三茄子」の茄子がブドウに変わったデザインです。
スパークリングワインの製法は瓶内二次発酵。

主力ワインシリーズから「フジクレール 吟果甲州2024」

「フジクレール 吟果甲州2024」
山梨県内の契約栽培農家が育てた甲州種の中から、特に品質の高いブドウだけを吟味して造られた一本です。フローラルな香りと柑橘の爽やかさが印象的な甲州。瑞々しい果実味にほどよい酸。キリッと冷やして楽しみたい、日本の食卓に寄り添う白ワイン。

「フジクレール 隼山甲州 樽発酵 2023&2024」

「フジクレール 隼山甲州 樽発酵 2023」「フジクレール 隼山甲州 樽発酵 2024」
2023ヴィンテージはすでに完売しているそうですが、今回は2024ヴィンテージと比較試飲することができました。ヴィンテージの違いを感じられたことも興味深く、アルコール度数は9%と軽やかながら、豊かな果実味と樽発酵由来のまろやかな質感が調和し、低アルコールとは思えない満足感のある味わいでした。

「フジクレール 隼山マスカット・ベーリーA」

「フジクレール 隼山マスカット・ベーリーA 2023」
山梨県北東部・牧丘町にある「隼山」と呼ばれる丘陵地帯。その標高約680mに位置する畑で、契約農家・久保田氏が育てたマスカット・ベーリーAを使用して醸造された一本。マスカット・ベーリーAとしては濃い色調。口に含むと、凝縮した果実の風味に穏やかなスパイスが重なり、しっかりとした骨格と長い余韻が続きます。マスカット・ベーリーAの華やかさに加え、深みと複雑さを兼ね備えた、ワインでした。

「百千 明野シャルドネ2023」最高品質のワインのみが「百千」の名前を冠することができる。

厳選したブドウから造られるフジクレールワイナリーのフラッグシップシリーズ。品質や味わいの基準を満たした限られたワインだけが、「百千」を名乗ることができます。

「百千 明野シャルドネ2023」
この日、最も印象に残った一本が「百千 明野シャルドネ2023」。グラスから立ち上る複雑で奥行きのある香り、口に含むと広がる凝縮した果実味と美しい酸の調和。ブドウのポテンシャルを最大限に引き出す醸造技術と、明野のテロワールが見事に表現された、印象深いシャルドネです。

このシリーズでは「百千 AX3 2023」「百千 明野シラー2023」もテイスティング。
「AX3」(3種類をアッサンブラージュ)はカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロと志太乃輝をブレンドした一本です。熟成によって生まれた落ち着きのある果実味に、スパイスや樽由来のニュアンスが幾重にも重なり、複雑で奥行きのある味わいが印象的でした。じっくりと向き合いたくなるワインです。

一方の「明野シラー」は、ピュアで生き生きとした果実味が魅力。ブラックベリーやブルーベリーを思わせる瑞々しい果実に、シラーらしいスパイスのアクセントが重なります。白胡椒を思わせる繊細で上品な印象で、果実味を引き立てながら味わい全体を引き締めていました。若々しいエネルギーを感じる、今後の熟成も楽しみな一本です。

おしゃれなおつまみプレート

テイスティングに合わせて提供されたおつまみプレートも、満足度をさらに高めてくれる内容でした。特に興味深かったのは、ドライレーズンが甲州、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、シラー、マスカット・ベーリーAと、それぞれ試飲したワインの品種に合わせて用意されていたこと。同じ品種のブドウをワインと一緒に味わうことで、それぞれの品種が持つ個性や特徴をより深く感じることができました。なかでもシラーのドライレーズンからは、ワインにも通じる胡椒を思わせるスパイシーな香りが感じられ、品種の個性を改めて実感する興味深い体験となりました。

さらに、「百千 明野シャルドネ」には、柿とシナモンのコンフィチュールをペアリング。柿のやさしい甘みとシナモンの香りが、ワインの豊かな果実味や樽由来の風味と見事に調和し、この日一番印象に残るペアリングでした。

こうした組み合わせは、スタッフの皆さんが日頃から「この食材ならこのワインに合うのでは」と試行錯誤を重ねながら提案しているそうです。ワインへの探究心はもちろん、スタッフ同士が和気あいあいと意見を交わす雰囲気も心地よく、その温かな空気感もフジクレールワイナリーの魅力の一つだと感じました。

フジクレールワイナリーの見学ツアー

見学の後はスパークリングワインで乾杯!

WINERY & SHOP – ワイナリー&ショップ | フジクレールワイナリー

フジクレールワイナリーでは、見学ツアーを開催しています。ワイナリーやワイン造りについて学び、テイスティングも楽しめる内容となっており、初めて訪れる方にもおすすめです。

今回参加したのは、60分の見学ツアー(ワイン付き)。醸造施設の見学やワイナリーの歴史、ワイン造りへのこだわりについて詳しく説明を受けた後、テイスティングを楽しむことができました。

ツアーの詳細や最新の開催情報は、公式ホームページおよびInstagramをご確認ください。

ワインショップでは、さまざまなワインをグラスで気軽にテイスティング。高台から望む山梨の美しい景色とともに味わう一杯は、ワイナリーならではの贅沢な時間でした。

都内からバスで行く山梨ワイナリー旅|また訪れたくなるフジクレールワイナリー

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これまで山梨を訪れる際は、新宿から特急を利用することが多かったのですが、今回は初めてバスタ新宿から高速バスを利用してみました。乗り換えがなく、想像以上に快適で、山梨がぐっと身近に感じられました。

今回利用したのは甲府方面行きの高速バス。「中央道釈迦堂」バス停で下車すると、フジクレールワイナリーまでは徒歩約10分とアクセスも良好です。運賃も片道1,800円からとリーズナブルで、気軽にワイナリーを訪れることができます。
※新宿から電車でアクセスする場合は、大月駅で中央本線に乗り換え、「勝沼ぶどう郷駅」を利用するルートが一般的です。一方、今回利用した高速バスは乗り換えなしでアクセスできました。ただし、ワイナリーによって最寄りのバス停や駅からの距離は異なりますので、訪問前にアクセス方法をご確認ください。

写真左:醸造担当・杉尾さん、写真右:営業部・望月さん、中央:Wine Flight編集部。

ワイン造りへの想いを丁寧にお話しいただき、学びと発見にあふれた一日となりました。温かく迎えてくださった杉尾さん、望月さんをはじめ、フジクレールワイナリーの皆さま、本当にありがとうございました。

フジクレールワイナリー | 山梨県甲州市勝沼町のワイナリー

この記事を書いた人

Wine Flight編集部です。この度は当サイトをご覧いただきありがとうございます。Wine Flight編集部では、CAライターと共にCA視点のワイン情報をお届けしてまいります。どうぞお楽しみに!

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