ワインはただの飲み物ではありません。一杯のワインには、土壌や気候といった自然の要素、造り手の思いや地域の文化、時には歴史的な背景までが詰まっています。その物語を知ることで、同じワインでも味わい方がまったく違って感じられることがあります。
例えば、このワインはどこで生まれたのか、どんな人が造ったのか、どんな出来事がその背景にあったのか。こうした問いに答える物語が、ワインにさらなる深みを与えてくれます。

山田井ユウキさんの「ワインの半分は物語でできている。」をご紹介します。
ワインを、ただ飲むだけでなく、その一杯に秘められたストーリーを読み解くことで、ワインの新たな魅力を発見してみませんか?
こんな方におすすめ
ワインを学んだことがある方、特にソムリエ・ワインエキスパート試験に挑戦したことがある方にとっては、聞いたことがあるワインやエピソードがたくさん出てきて、楽しめますし、きっと新たな発見もあるはず。



ソムリエ・ワインエキスパート受験中の方にとっては、興味深いエピソードは記憶のフックになるので、試験対策になるかも。順番に読まなくても気になるエピソードから読んでいくのもおすすめです。
私のお気に入りはソムリエ教本にも登場するエピソード「第23話 エスト!エスト!!エスト!!!」
また、ワインの知識がない方にとってはワインにまつわる伝説や逸話は面白く、そのワインを飲んでみたくなると思います。楽しく、興味深く、ワインの知識も学べるのがとてもいい!著者の方も、「ワインに興味を持ちだした方に読んでもらえたら嬉しい」と本の中でおっしゃっています。



「え、そうだったの!」と感動するエピソードがいくつもあり、誰かに話したくてたまらない状態になっています。
著者 山田井ユウキ氏
ワインエキスパート(日本ソムリエ協会)、WSET Level3(Wine & Spirit Education Trust)、ドイツワインケナー(日本ドイツワイン協会連合会)、「第8回 J.S.A. ブラインドテイスティングコンテスト」ファイナリスト。ワインも含め興味のおもむくまま多ジャンルで執筆するフリーライター。もとはブログ「カフェオレ・ライター」でマルコと名乗り、生きていく上で特に知る必要のない情報を発信していたところ、勤めていた会社が解散していつのまにか専業ライターに。BL帯研究家というこの世にひとりしかいなそうな肩書きを名乗っていたことも。ワイン沼にハマってからは日常的に飲むのはもちろん、「物語」を感じるワインをコツコツと数百本収集。1980年生まれ。
内容・あらすじ
“ 物語からワインが好きになるタイプ ”の著者(ワインエキスパート)が、自身をワイン沼に引きずりこんだ数々のワインストーリーから、41本をセレクトして語った一冊です。百年越しで一族の悲願を叶えたワイン、世界の勢力図を一変させたワイン、滅亡の危機を乗り越えたワイン、超資産家のまごころが込められたワイン──ワインの世界に興味を持ちはじめた人におすすめの定番物語を中心に集めました。物語を知ればありがたみが増し、ありがたみが増せば、そのワインはもっとおいしくなる! ワイン教本の“ 読み物系 ”副読本にもぜひ。
目次(抜粋)
・「我はムートンなり」 ~ 不変のボルドー格付けを覆した「シャトー・ムートン・ロートシルト」
・もしワイン界の巨匠が手を組んだら ~ 国境を越えた夢の推しカプ「オーパス・ワン」
・ロシア皇帝の特注シャンパン ~ 疑心暗鬼が生んだ「クリスタル」の不思議なボトル
・ブルゴーニュの「天・地・人」 ~ 本場で夢を叶える日本人醸造家のルー・デュモン
・トム・クルーズが飛んできたワイン ~ セレブを夢中にさせた「シャトー・モンテュス」
・日本庭園のようなワイン ~ 想いをつないだ日本ワインの到達点「シグナチャー」
・エスト! エスト!! エスト!!! ~ ワインがおいしすぎる村に興奮した司教と従者の物語
・堕ちた名門とサントリー ~ ボルドー格付け3級シャトー・ラグランジ…etc
機内で出会えるワインも発見
「第20話 ロシア皇帝の特注シャンパン」で紹介されたシャンパンメゾン ルイ・ロデレールのプレステージ・キュヴェ「クリスタル」はJAL国際線ファーストクラスのメニューにかつて採用されていました。
最近ではシンガポール航空が「クリスタル2015」をスイートとファーストクラスの路線で提供することを発表しました。
シンガポール航空、ルイ・ロデレール社製シャンパンのクリスタル2015を独占提供しスイートとファーストクラスの機内体験を向上 | シンガポール航空のプレスリリース
「第24話 家族をつなぐロマンチックワイン」で紹介されているシャトー・イガイタカハは、カリフォルニアで日本人夫婦が造るワイナリー。
フラッグシップ「園(赤)」はJAL国際線ファーストクラスのメニューに採用されています。


シャトー・イガイタカハ“園”ピノ・ノワールは真の日本人女性の強さとエレガントさを兼ね備えたご夫人の美代子さんをイメージして造られたワイン。豊かな果実感がフレッシュな酸味とともにジューシーかつボリューミーな口当たりを持ちタンニンはよく溶け込んでおり、余韻も華やかなベリーの風味に包まれます。
JAL公式HPより
ワインの半分は物語でできている。
ワインの背景やストーリーを知ることで、一杯のワインが飲み物以上の体験へと変わります。ワインを楽しむとき、その味わいだけでなく、ボトルの向こうに広がる歴史や人々の思いに心を向けてみてはいかがでしょうか。
物語を知ることで、きっと次に飲むワインの味わいがより特別なものに感じられるはずです。