一般社団法人日本ブラインドテイスティング協会が設立されました。
同協会は、ブラインドテイスティング文化のさらなる普及をはじめ、テイスティング技術の標準化、飲食業界と消費者双方にとって価値ある体験の創出を目的としています。今後は、各種講習会や技能大会、認定資格制度などを順次展開し、ブラインドテイスティングをより身近で親しみやすい文化として広げていく方針です。
記者発表会が開催され、協会設立の背景や今後の事業計画に加え、ワインショップ「WINE MARKET PARTY」におけるブラインドテイスティングイベントの成功事例を紹介。さらに、3種類のワインをブラインドでテイスティングする実践体験講座も行われました。
ブラインドテイスティングは資格試験の一部という印象を持たれがちですが、セミナーでは「五感で感じ、言葉にする楽しさ」を体験できるエンターテインメントとしての魅力や、AI時代だからこそ高まるその価値についても語られました。本記事では、セミナーの内容をレポートします。
ブラインドテイスティングをもっと身近なものへ

代表理事の鈴木 明人氏は、自身が2012年にワインエキスパート資格を取得した経験を振り返りながら、協会設立に至った経緯を紹介しました。
これまでブラインドテイスティングは、資格試験の一部という印象が強く、「暗記中心の勉強」「正解を当てるための試験」というイメージを持つ人が少なくありませんでした。
しかし、本来のブラインドテイスティングには、自分の五感を使って香りや味わいを感じ、それを言葉にする楽しさがあります。協会では、その魅力をより多くの人に伝えるため、「誰もが楽しめる体験型エンターテインメント」としてブラインドテイスティングを普及していくことを目指しています。
鈴木氏は、予想と答えが一致したとき、あるいは外れたときの学びや発見、ひらめきによる達成感、自分の五感が評価される喜び、そして継続することで成長を実感できることなど、複数の要素が組み合わさることで高い満足感が得られるといいます。
さらに、「答えがAIですぐに手に入る時代だからこそ、自分自身の五感で感じ、それを言語化する体験の価値はますます高まる」と語り、ブラインドテイスティングの社会的な意義についても言及しました。
ワインは五感を鍛える最高の教材
セミナーでは、なぜワインがブラインドテイスティングに適しているのかについても説明がありました。
世界中で造られ、価格帯も幅広いワインは、世界で最も言語化が進んでいる飲料の一つです。香りや味わいを表現するための語彙が豊富であり、五感を磨く教材として非常に優れているといいます。
単に品種や産地を当てるゲームではなく、自分が感じたことを言葉にする訓練こそが、ブラインドテイスティングの本質であることが強調されました。
ワインショップで実証されたブラインドテイスティングの集客効果

続いて、ワインショップ「WINE MARKET PARTY」の店長・沼田 英之氏が、店舗で実施しているブラインドテイスティングイベントの成功事例を紹介。
同店では約3年前から、毎週月曜・火曜に1,100円で3種類のワインをブラインドテイスティングできるイベントを開始。当初19名ほどだった参加者は、現在では毎週130〜140名、多い日には165名が参加する人気イベントへと成長しています。
参加者の約30%は資格を持たない一般のワイン愛好家で、約半数が40歳以下という若い世代です。また、毎週参加する常連客が45%を占めるなど、高いリピート率も特徴となっています。
イベント参加者はテイスティングだけでなく、店内でワインや関連商品を購入するケースも多く、月曜・火曜の売上は年間ベースで、週末並みの売上を記録するまでになったそうです。
ブラインドテイスティングは、単なるイベントではなく、新規顧客の獲得や来店習慣の形成、店舗売上の向上にも大きく貢献する取り組みとして紹介されました。
WINE MARKET PARTY(ワインマーケットパーティ)のご案内 – 恵比寿ワインマート
全国へ広がるブラインドテイスティング文化を目指して
協会では、今後さまざまな事業を展開していく予定です。
協会では、すでに毎月オンライン形式で開催される「ブラインドテイスティングリーグ」がスタート。さらに今後は、3級から1級までの認定資格制度の創設、各種セミナーや講習会の実施、個人の大会成績などを管理できる評価システムの整備なども計画されています。
オンラインで行われる「ブラインドテイスティングリーグ」では小瓶に詰めたワインを全国へ配送し、自宅にいながら誰でも参加できる仕組みです。第1回は2026年6月にスタートしました。
2026年5月の募集開始以来、会員数はすでに244名となっており、年内に300名、3年後には1,000名規模を目指しています。
将来的には、ワインだけでなく日本酒やウイスキーなど他ジャンルとの連携も視野に入れ、ブラインドテイスティング文化そのものを広げていく構想が示されました。
実際にブラインドテイスティングを体験

セミナーの最後には、ブラインドテイスティングが体験できる実践講座が行われました。
今回用意されたのは3種類の白ワイン。参加者はワイン名を伏せた状態で外観、香り、味わいを観察し、それぞれの特徴を整理していきます。
鈴木氏は、自身が提唱する「クンクンメソッド」を紹介。
まずは先入観を持たず、「感じるフェーズ」に集中して香りや味わいを丁寧に観察します。その後、集めた情報をもとに品種や産地を推測する「考えるフェーズ」へ移るという考え方です。
ワインの正解は以下の3種類でした。
- A:シャルドネ(オーストラリア・アデレードヒルズ/ショー・アンド・スミス)
- B:ソーヴィニヨン・ブラン(ニュージーランド・マールボロ/クロ・アンリ)
- C:ヴィオニエ(フランス・ローヌ/フランソワ・ヴィラール)

解説では、外観から得られる情報についても紹介されました。例えば、Aのワインのライトグリーンの色調は葉緑素に由来し、ブドウが完全に成熟する前に収穫されたことを示唆する重要なヒントになるという説明がありました。短時間の体験でありながら、「外観からこのような情報を読み取れるのか」とブラインドテイスティングの面白さを改めて実感しました。
鈴木氏のテイスティングメソッドは、著書『WINE ブラインドテイスティングの教科書』でも学ぶことができます。
ブラインドテイスティングは五感を鍛える「筋トレ」
今回の記者発表会を通して印象的だったのは、ブラインドテイスティングを単なる資格試験のための技術ではなく、「五感を鍛えるトレーニング」と位置付けていたことです。
正解・不正解だけに一喜一憂するのではなく、自分が感じたことを言葉にし、その積み重ねによって感覚を磨いていく。そのプロセスこそがブラインドテイスティングの本質であり、継続することで確かな成長を実感できるといいます。
AIが多くの答えを導き出してくれる時代だからこそ、自らの感覚で感じ、考え、表現する力の価値はより高まっています。日本ブラインドテイスティング協会の活動は、ワインを楽しむ新たな文化を広げるだけでなく、「五感を育てる」という新しい学びの形としても今後注目を集めそうです。
日本ブラインドテイスティングリーグに挑戦

日本ブラインドテイスティング協会では、毎月オンラインで参加できる「日本ブラインドテイスティングリーグ」を開催しています。小瓶に詰めたワインが自宅など指定した住所に届くため、全国どこからでもブラインドテイスティングに挑戦できます。
参加プランは、毎月継続して参加できる定期参加プラン(月額5,980円・税込・送料込)と、気軽に始められる都度参加プラン(1回6,980円・税込・送料込)の2種類。自分のライフスタイルに合わせて参加できるのも魅力です。
Ryoko筆者も第1回リーグに参加しました!自分の実力を確認するとともに、継続して参加することで、成長を実感できる貴重な機会になると感じています。
ブラインドテイスティングに興味がある方、五感を磨きたい方、ワインをもっと深く楽しみたい方は、ぜひ一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。











