2025年のボジョレー・ヌーヴォー解禁日となる 11月20日(木)。
都内のフランス料理店「Loiseau de France ロワゾー・ドゥ・フランス東京」には、メディア関係者が集まり、ボジョレーの魅力を発信するプレスイベントが開催されました。
この日のために、フランス本国から インターボジョレー(ボジョレーワイン委員会)のマネージングディレクター、オリヴィエ・バドゥロー氏 と、 副会長セバスチャン・カルギュル氏 の両名が来日。
ボジョレー・ワインの魅力や、ボジョレー地方の新たな取り組みなど、最新のボジョレー事情が語られました。
注目を集めたのが、世界的ソムリエ 大越基裕さん によるテイスティングセッション。
リリースされたばかりのボジョレー・ヌーヴォー3種類に加えて、産地の多様性を感じるボジョレー・ワインもラインナップ。
大越さんの解説を聞きながら、グラスの中に広がる香りや味わいの違いを体験できる、贅沢な時間となりました。

Ryoko大越基裕さんといえば、JALのワインセレクトをされていることでも有名。
テイスティングセッションでは、ペアリングの話がとても印象的でした。著書 『ロジカルペアリング』 の内容を直接うかがうことができ、すぐに試してみたくなる提案がたくさん!
2024・2025年ヴィンテージの特徴と味わいの傾向
2024年:フレッシュでフルーティー
2024年は、暖冬で発芽が遅れた年 でした。
冬は降雨量が多く、気温も下がったため、病害のリスクが高く、畑の細やかなケアが求められた年 でもあります。
一方で、夏に入るとブドウの成熟が進み、健全な果実が収穫 されました。
その結果、仕上がったワインは 「フレッシュ&フルーティ」。
まさに、消費者がボジョレーに期待する、軽快で親しみやすいスタイル を備えたヴィンテージとなりました。
2025年:凝縮感と酸のバランスが整ったスタイル
2025年は、「5」のつく年は良年になりやすい と言われるボジョレーにおいて、期待が高まるヴィンテージです。
春は天候に恵まれ、4月には30℃を超える日もあり、ブドウの生育が順調に進みました。
一方で、6月は雨が多く、不安定な気候も見られ、下旬には局地的にジュリエナ、サン・タムールで雹が降りました。
7月には 病害のリスクがほとんどなくなるまで環境が整い、その後の成熟期を理想的な形で迎えることができました。
味わいは、現代の温暖な気候らしく 高い熟度ながらも、酸がしっかり保たれ、バランスの良い構造 が特徴。
- 真夏日の多い夏
- 乾燥した8月
この2つの要素によって、ブドウは 小粒で凝縮し、豊富なタンニン を蓄えた状態で収穫されました。
その結果、力強い果実味としっかりしたタンニンが調和するスタイル が期待されています。
収穫量は前年に続き 全体で約20%減少。生産量は少ないですが高品質が期待できる年です。



2025年は「暑い年の理想とされるスタイル」と評価できるヴィンテージだそう。比較すると2024年はより酸があり、2025年は果実感と酸味のバランスがよくジューシーなスタイルに。
ボジョレー・ワインの現状と多様性


ボジョレー・ヌーヴォーの役割
その年のワインの傾向を、もっとも早く知るための指標となるのが、ボジョレー・ヌーヴォーです。
カジュアルに楽しむワインでありながら、その年のブドウの出来栄えが反映されるのが特徴。
世界的に活躍するソムリエの大越さんも、毎年必ずボジョレー・ヌーヴォーをテイスティングするのだそう。
「その年の傾向がいち早く分かる」と言います。


ボジョレー・ワイン日本市場の現状
日本に輸入されるボジョレー・ワインのうち、約 90%がボジョレー・ヌーヴォー。
一方で、多様なスタイルを持つ新酒以外のボジョレー・ワインはわずか10%ほどしか輸入されていません。
そのため、私たちが目にすることの多いのは、新酒としてのヌーヴォーですが、ボジョレーには 熟成向きのワインや、テロワールが際立つクリュ・ボジョレーなど、多彩な魅力を持つワインが存在します。
近年、世界的にワイン価格が高騰する中、ガメイ種から造られるボジョレー・ワインの“味わいの幅とコストパフォーマンス” が改めて注目されています。
フレッシュな新酒から、熟成によって複雑さが増すワインまで、同じ品種で楽しめるバリエーションの多さは、これからさらに価値が高まっていくでしょう。
ボジョレー地方の地質とブドウ品種
ボジョレー地方は、地質が非常に特徴的で、細かく分類すると 300種類以上の地質が存在するといわれ、その多様性がこの土地ならではの個性を生み出しています。
この複雑な地質を背景に、ボジョレーではガメイとシャルドネ の2品種から、多彩なスタイルのワインが造られています。
同じ品種でありながら、土地(テロワール)の違いが味わいに大きく影響し、軽やかでチャーミングなタイプから、熟成を見据えた骨格のあるタイプまで 幅広い表現が楽しめます。
生産されているのはガメイから赤ワインとロゼワイン、シャルドネから白ワインです。
2025年ボジョレー・ヌーヴォーを含むテイスティングセッション


ラ・ローズ・ナカラ・ボジョレー・ヌーヴォー・ロゼ 2025


特徴:ダイレクトプレス法で造られ、色合いが淡い。珍しいロゼのヌーヴォー。
香り:ラズベリーやキャンディを思わせる優しい「エステル香」とフローラルな香りが特徴。
味わい:2025年はブドウの熟度が高く、果実味と酸のバランスが良いジューシーな味わい。2024年の酸の余韻に対し、より柔らかくしなやかな口当たり(スープル)が感じられる。
大越ソムリエおすすめペアリング:カブのなます、鯛の昆布締めなど脂分の少ない料理。料理のアクセントにピンクペッパーやしば漬けを合わせるのも良い。
ルイ・テット・ボジョレー・ヌーヴォー 2025


特徴:セミ・マセラシオン・カルボニック法。ブドウの熟度が高いため、色が濃く、ブラックチェリーのような黒い果実のニュアンスが強い。
香り:特徴的なバナナのエステル香に加え、ブラックチェリー系の香り。
味わい:果実の凝縮感としっかりした酸味がありジューシー。軽快ながら存在感のあるタンニンが飲み終わりを引き締める。
大越ソムリエおすすめペアリング:シャルキュトリー全般、豚の生姜焼き、豚肉入りソース焼きそばなど。醤油ベースの軽い料理と合う。



お醤油には、実は“ベリー香”が潜んでいる?!
お醤油と赤ワインは、とても相性がよい組み合わせなのだそう。
大越さんによると、お醤油を分析すると、イチゴのようなベリー系の香り成分が含まれている ことがわかり、赤ワインと調和しやすい理由が科学的にも説明できるのだとか。
バラック・ド・ラ・ペリエール・ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー 2025


特徴:エステル系の香りは控えめ、黒系果実やスパイスの香りがあり落ち着いた印象
香り:バナナ香が控えめで、ブラックチェリーやカシスのようなフレッシュな黒系果実の香りが主体。カルダモンのようなスパイスのヒントも。
味わい:口当たりが非常に滑らかで、きめ細かいテクスチャー。果実味、酸味、タンニンが一体化し、緻密で長い余韻が楽しめる。
大越ソムリエおすすめペアリング:鰹のたたき(生姜醤油)、ブリの照り焼き(甘さ控えめ)など、ワインの滑らかなテクスチャーを活かせる料理。
ボジョレー・ブラン・シャトー・デ・ジャック2023


特徴:生産量4%とボジョレーでは希少なシャルドネ100%の白ワイン。ステンレスタンクで発酵・熟成(樽不使用)。シュール・リー製法による旨味を持つ。
香り:洋ナシやカリンのような黄色い果実、熟成したオリーブオイルや白い花の蜜のような複雑な香り。
味わい:柔らかいアタックで、2023年のブドウの熟度の高さが感じられる。少し温度を上げると果実味や複雑なフレーバー、旨味が引き立つ。
大越ソムリエおすすめペアリング:鍋物全般(特に塩味系、鱈の鍋など)、発酵白菜鍋、ふろふき大根(ゆず味噌)など、出汁の旨味を活かした温かい料理。
シャトー・ドゥ・コルセル・ボジョレー・ル・ぺレオン 2023


特徴:古木のガメイを使用。セミ・マセラシオン・カルボニック法で醸造。
香り:熟成によりバナナ香は消え、ベリーや土、ミネラルの風味が感じられる。
味わい:タンニンは緻密で滑らか。味わいの中盤に力強さがあり、ヌーヴォーより長い余韻を持つ。
大越ソムリエおすすめペアリング: 鴨鍋、ホロホロ鶏や豚ヒレ肉のソテーなど、脂分の少ない噛み応えのある肉料理。ポン酢や醤油ベースの和風タレと好相性。
ドメーヌ・デ・ニュグ・フルーリー・レ・コート 2018


特徴:2018年の猛暑のヴィンテージ。7年の熟成を経ている。
香り:ドライイチジク、プルーン、シナモン、カカオニブといった熟成香。
味わい:非常に力強く、凝縮感があり、タンニンもしっかりしている。
大越ソムリエおすすめペアリング:八角などスパイス風味のある中華の豚の角煮や、鹿肉のチョコレートソースやベリーソース添えなど、ワインの強いタンニンや風味に負けない、味の濃い料理。



タンニンがしっかりある赤は、油脂分のある料理、噛み応えのある食材と相性◎噛み応えは食材の厚さを意識するのもポイントだそう。
ボジョレーの最新動向と将来の展望


現在、ボジョレー全体に占める白ワイン(シャルドネ)の割合は約4% とまだ少ないものの、国内外で人気が高まり、生産量は年々増加しています。今後は 10〜15%まで拡大する可能性 があると予測されています。
同時に、産地の価値を高める動きも進んでいます。
ボジョレーには現在 10のクリュ(特定優良区画) がありますが、その一部で プルミエ・クリュ(一級畑)認定に向けた検討 が始まっています。
候補地となっているのは フルーリー、ムーラン・ナ・ヴァン、ブルイィ、コート・ド・ブルイィ の4地区で、格付けの実現には生産者の 4分の3以上の賛成が必要 とされています。
近年は、若手生産者の台頭に加えて、技術革新も進んでいます。
研究機関の発展により、特に 地球温暖化への対応 が進み、気候変動によって変動しやすい収穫時期や人手不足といった課題にも向き合いながら、より質の高いワイン造りに挑戦しています。
ボジョレーが根底に持つ哲学は、「喜びを分かち合うワイン」。
複雑さや繊細さを備えながらも、誰もが手に取りやすい価格で楽しめる、高品質で開かれたワイン産地 を目指しています。



日本でもヌーヴォー以外のボジョレー・ワインの魅力がもっと伝わればと、今回来日されたボジョレーワイン委員会の方がおっしゃっていました。
11種のボジョレーとビュッフェを堪能
ディナータイムには、ボジョレー・ヌーヴォー7種類、白ワイン1種類、2023年ヴィンテージ3種類 の計11種類のワインを試飲することができました。
一度にこれほど多くのボジョレーを味わえる機会は、なかなかありません。比較しながら飲むことで、「ボジョレーとはこういうワインだ」と一言で説明できない、多様なスタイルを改めて実感しました。


普段、出会う機会が少ない ボジョレー・ブラン(シャルドネ) も印象的でした。
「シャトー・カンボン」の白は、熟した果実の旨みがしっかりと感じられ、余韻にミネラルが伸びていく、バランスのよさが魅力的です。


また、「ジュリアン・スニエ」のレニエ 2023は、香り高い果実のアロマと、芯のある骨格を感じさせるスタイルが印象的。ナチュラルでありながら上品さを感じました。


座席は、メディア関係者とインポーターの方々が交互に着席するような配置になっており、今回のワインを輸入しているインポーターの方々とも直接交流することができました。
ワインの背景やエピソードを伺いながら味わえる、学びと出会いのある楽しい時間 でした。










ボジョレー・ワインの最新情報はこちら
ボジョレーワイン委員会には、日本語の公式サイトが開設されています。
「ボジョレー・ワインをもっと気軽に楽しむ!」をテーマに、全12AOCの紹介や豆知識、料理とのペアリング、コラム形式のウェブマガジン など、幅広いコンテンツが公開されています。
また、現地の最新ニュースやイベント情報も掲載されているため、生産地の“今”に触れることができる情報源 としても役立ちます。
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