CAが語る、ワイン資格がキャリアにもたらした効果《JAL現役CA×ワイン》宮崎まりさん連載コラム 第2回

【Wine Flight編集部より】

このたびWine Flightでは、日本航空の現役客室乗務員であり、ワインの国際的な難関資格「WSET Level 4 Diploma」および「国際ソムリエ協会A.S.I Diploma Gold」を保持する宮崎まりさんによる特別連載を、全5回シリーズでお届けいたします。

客室乗務員としてのキャリアと、ワイン資格取得の両立。そのリアルな体験を通じて、「好きを形にする働き方」や「学びを通して広がる可能性」に触れていただけるはずです。
ぜひ、シリーズを通してご覧ください。

目次

CAが語る、ワイン資格がキャリアにもたらした効果

私が客室乗務員(CA)として働く中で、ワイン資格を取得したことは、単なる「知識を増やす」ためだけでなく、キャリアに多大な効果をもたらしました。これまでの経験を通じて、ワインの知識がどのようにして私の仕事に役立ち、どんな影響を与えたのかを振り返ると、その重要性を改めて実感します。

特に、WSETのDiplomaや国際ソムリエ協会ASI Gold、日本ソムリエ協会JSAのソムリエ・エクセレンスなどの上級資格が、私のキャリアにどれほど深い影響を与えたのかについてお話ししたいと思います。

ロンドン・ギルドホールにて
WSET Diploma修了証を受け取る宮崎まりさん

ワイン資格を取得するきっかけ

ソムリエ取得のきっかけは、周りの同期や友人たちがソムリエの受験勉強を始めたことで、私もやろうかな、という軽い気持ちでした。航空会社で働いていると、日々さまざまなお客さまと接する中で、ワインに対する興味や知識が求められる場面に遭遇します。お客さまがワインを選ぶ際、料理とのペアリングについて質問されたり、ワインの産地や種類について問われることも少なくありません。そのような時、限られた知識では十分にお答えできないと感じ、もっと深く学びたいと思うようになりました。

最初は、自分の好きなワインを理解するための勉強から始めましたが、徐々にそれがキャリアに直結する資格取得へと目標が変わっていきました。例えば、WSET Diplomaでは、ブドウ栽培からワインの醸造方法、世界のワイン産地の気候や土壌、そしてそれらがワインに与える影響について幅広く学びました。この知識は、機内でのワイン選定に役立ち、お客さまに提供するワインの説明をより自信を持って行えるようになりました。

好きから始まり、キャリアへとつながったワインの学び

資格取得がもたらしたスキルの向上

ワイン資格を取得したことで、まず大きな変化を感じたのは「自信」の向上です。機内で提供するワインの知識が増えたことで、お客さまからの質問に即座に、そして的確に回答できるようになりました。例えば、「この料理はどのワインに合いますか?」という質問に対しても、料理とのペアリングをしっかりと説明できるようになり、よりプロフェッショナルな印象を与えることができるようになりました。また、ワインの詳細な情報を提供できることで、お客さまとのコミュニケーションが一層円滑になり、サービスの質を高めることができました。

さらに、資格取得を通じて得た知識は、私のキャリアの幅を広げるきっかけにもなりました。以前は機内で客室乗務員としてお客さまにサービスを提供するだけでしたが、今ではワインをテーマにしたセミナーの企画に携わることができるようになりました。機内だけでなく、地上でもワインに関わる仕事をする機会をいただけるようになり、私の仕事の幅が広がったと感じています。

キャリアアップへの影響

ワインの資格は、私のキャリアアップにも影響を与えました。世界的な資格を取得したことで、ワインや食事とのペアリングに関して、より高度な知識を持っていると認められるようになり、社内での評価も上がりました。ワインの知識を持っていることは、単なるサービススキルにとどまらず、大きな資産であると実感しました。

また、資格を持つことで、社内でのソムリエとしての地位が確立され、同僚や上司からの信頼も得られるようになりました。これは、単に資格を持っていることだけでなく、実際にその知識を活かし、仕事に役立てているという点が評価された結果だと思います。

ワイン資格が私に与えた自信と影響

ワイン資格を取得する過程は容易ではなく、つらくて何度も挫折しそうになりました。特に、WSET DiplomaやASI Gold資格は簡単に取得できるものではなく、膨大な知識と高度なサービス技量が求められました。フライトの合間に時間を見つけて試験勉強をするのは非常に大変でしたが、やはり自分が目指すキャリアのためには避けて通れない道だと思いました。

上級資格を取得してからは、機内サービスやお客さまへの対応の質が格段に向上し、お客さまからの信頼を得られるようになりました。それと同時に、自分自身のスキルに対する自信も深まりました。以前は「ソムリエ試験に合格はしたが、資格を持っているだけ」ということに少し後ろめたさを感じていましたが、今では堂々と自信を持って知識を活かしたサービスを提供できています。これは、私のキャリアにとって大きな進展となりました。

まとめ

ワイン資格がキャリアにもたらした効果は計り知れません。知識を深めたことで、自信を持ってお客さまにサービスを提供できるようになり、それがさらなる評価につながりました。上級資格を取得したことにより、機内でのサービスの質を向上させただけでなく、自分のキャリアをさらに充実させることができました。今後は、ワインに関する知識をさらに深め、お客さまに提供するサービスをより一層向上させ、他の客室乗務員の仲間たちにもその知識を共有していきたいと考えています。

ワイン資格を取得することで得られるものは、単なる知識にとどまらず、自信やキャリアアップ、そして新たな挑戦への扉を開くことができるということを実感しています。これからも、ワインを通じて自分自身の成長を続け、サービスの質を高めていくことを目指していきたいと思っています。

資格取得の裏には、地道な学びの積み重ねがあった

【次回予告】
第3回:「仕事とワイン勉強の両立」
6月27日公開予定

この記事を書いた人

日本航空株式会社 客室乗務員
WSET Level 4 Diploma
A.S.I. Diploma Gold
JSAソムリエ・エクセレンス
ドイツワイン上級ケナー
日本ワイン検定1級(日本ワインマスター)
Sake Diploma & International

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