現役CAが語る、好きを形にする働き方《JAL現役CA×ワイン》宮崎まりさん連載コラム 第1回

【Wine Flight編集部より】

このたびWine Flightでは、日本航空の現役客室乗務員であり、ワインの国際的な難関資格「WSET Level 4 Diploma」および「国際ソムリエ協会A.S.I Diploma Gold」を保持する宮崎まりさんによる特別連載を、全5回シリーズでお届けいたします。

客室乗務員としてのキャリアと、ワイン資格取得の両立。そのリアルな体験を通じて、「好きを形にする働き方」や「学びを通して広がる可能性」に触れていただけるはずです。
ぜひ、シリーズを通してご覧ください。


今後の連載スケジュール(予定)

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第1回
*本記事
「現役CAが語る、好きを形にする働き方」 
第2回
6月13日公開予定
「CAが語る、ワイン資格がキャリアにもたらした効果」 
第3回
6月27日公開予定
「仕事とワイン勉強の両立」
第4回
7月11日公開予定
「CAとしてJSA、WSET、ASIの上位資格への挑戦」 
第5回
7月25日公開予定
「フライトの合間にワイン資格を取る方法、忙しくても学び続けられた理由」 
目次

現役CAが語る、好きを形にする働き方

私が航空会社の客室乗務員(CA)として働きながら「好きを形にする働き方」を実現したいと考えるようになったきっかけは、ワインに対する深い興味と愛情でした。
日本航空に勤務する中で、機内サービスで提供されるワインやその知識に関心を持つようになり、ソムリエの上位資格を取得し、その知識を活かす方法を模索してきました。

宮崎まりさん

好きなことを仕事にするという挑戦

客室乗務員の仕事は、安全を最優先に考えた上で、お客さまのニーズに最大限応えることが求められます。

私にとって特に魅力的だったのは、お客さまとの触れ合いを通して「特別な体験」を提供できることでした。
そして、ワインというアイテムがその体験において大きな役割を果たしていることに気付きました。ワインの選定や提供方法、食事とのペアリングに対しても、多くのお客さまが関心を持ち、質問を受けます。
そこで、ワインについて詳しく説明できる知識を持ちたいと思ったのです。
最初は、単なる興味から始めたワインの勉強でしたが、次第に本格的な資格取得を目指すようになりました。

ワインに対する理解を深めることで、機内でのサービスの幅が広がり、より専門的な提案ができるようになることが重要だと感じました。これは単なる職務上のスキル向上だけではなく、自分の好きなことを深く学び、仕事に活かすことで充実感を得たいという思いからでした。

資格取得のステップ

日本ソムリエ協会JSAのソムリエ、ソムリエ・エクセレンスを取得後、私はWSET(Wine & Spirit Education Trust)のDiplomaと、国際ソムリエ協会ASIのGold資格を取得しました。
これらの資格は、決して簡単に取得できるものではありませんでしたが、勉強を通じて得た知識は、日々の仕事に直結するものが多く、非常に役立っています。

特に、WSET Diplomaでは、ワイン産地やブドウ品種、醸造方法に関する詳細な知識を学ぶことができ、フライト中にお客さまからご質問を受けた際にも自信を持って回答できるようになりました。

また、資格取得を目指す過程では、時間管理の重要性を改めて認識しました。客室乗務員という仕事はフライトの時間帯が不規則なため、勉強時間を確保することが非常に難しい状況です。しかし、フライトの合間や滞在先のホテルなどで時間を上手に活用することで、勉強を続ける努力をしました。

不規則な勤務でも、工夫して学び続けた

好きを仕事に活かすことの意義

ワインの資格を取得したことは、私のキャリアにおいて大きな変化をもたらしました。

例えば、機内で提供するワインの選定においても、より自分の知識に基づいた提案ができるようになりました。また、お客さまからのご質問に対しても、的確なアドバイスを提供できるようになり、サービスの質が向上したと感じています。
特に、ワインと食事のペアリングに関する知識は、お客さまにとって新しい発見となり、喜んでいただく機会が増えました。

さらに、資格を取得することで、私自身の成長にもつながりました。ワインについて深く学ぶことで、単に「飲む」楽しさだけでなく、ワインを通じて人々とコミュニケーションを取る喜びも感じるようになりました。
機内でワインを提供する際に、お客さまがワインの背景や特徴を知りたいという好奇心をお持ちの場合が多く、その際に自分の知識を共有することで、お客さまとの信頼関係を築くことができるようになりました。

好きを形にする働き方の広がり

 「好きを形にする働き方」というのは、単に自分が好きなことをすることだけではありません。
それを仕事に結びつけ、さらには他の人々にも価値を提供できる形にすることが重要だと感じています。私の場合、ワインの資格を取得することで、機内でのサービスの質を向上させるだけでなく、自分自身のキャリアの可能性を広げることができました。

そして、今後は、さらに多くの客室乗務員の仲間にもワインの知識を広める活動をしていきたいと思っています。私たち客室乗務員は、お客さまと直接触れ合うことができる仕事であり、常に「おもてなし」の心を持って接することが求められます。自分の好きなことを形にするために資格を取得し、それを仕事に活かすことができれば、仕事への情熱がさらに深まり、大きな充実感を得ることができると思います。

私にとって、ワインの知識を深めることは、単なる資格取得にとどまらず、日々の仕事をより素晴らしいものにするためのステップでもありました。取得した資格を活かして、機内でのワインサービスを一層充実させ、お客さまに「特別な体験」を提供できるように努めていきます。そして、今後さらに多くの客室乗務員が自分の好きなことを追求し、それを形にする働き方が広がることを願っています。

好きを活かし、仕事に価値を添える

【次回予告】
第2回:「CAが語る、ワイン資格がキャリアにもたらした効果」
6月13日公開予定

この記事を書いた人

日本航空株式会社 客室乗務員
WSET Level 4 Diploma
A.S.I. Diploma Gold
JSAソムリエ・エクセレンス
ドイツワイン上級ケナー
日本ワイン検定1級(日本ワインマスター)
Sake Diploma & International

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