ワインは人生を豊かにしてくれる素晴らしい飲み物ですが、楽しんだ翌日に「なぜか気分が落ち込む」「不安に襲われる」という方もいます。
この現象は俗に 「酒鬱(さけうつ)」 と呼ばれることもあります。
今回Wine Flightでは、ゆうメンタルクリニック総院長であり、X(旧Twitter)で30万人以上のフォロワーを持つ精神科医・ゆうきゆう医師 にご協力いただき、酒鬱の正体や原因、そして改善方法について伺いました。
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酒鬱とはどのような状態?

「酒鬱」という言葉は医学用語や診断名ではありません。
しかし一般的に「お酒を飲んだあとに落ち込んでしまう」状態を指すと考えられます。
なぜお酒を飲むと気分が落ち込むの?

人は(人にもよりますが)飲酒によりドーパミンが出て、快感を抱きます。
しかしこれを繰り返していると、どんどんドーパミンが「出づらく」または「効きづらく」なっていきます。
体が順応してしまうのですね。
それもあって、飲酒量はどんどん増えてしまいます。
さて何にせよドーパミンが出づらくなっておりますので、そのあとに、いろいろなものごとへの
快感が抱きづらくなります。
結果、日常において気分が落ち込んだように感じられます。
くわえて飲酒直後はアルコールが体内に残ることで、肝臓はもちろん、身体不調を感じます。
それもあって「体調が悪いし気分が悪い」⇒(ドーパミンが出ないため)「気分が落ち込む」
という図式になっていると考えられます。
一言でいうと、アルコール依存症の一種です。
酒鬱になりやすい人の特徴
- ストレスが日常的に多い人
- ADHDなどの特性により人間関係で問題を抱えやすい人
こうした方々はアルコールに依存しやすいとされています。

このような方は酒鬱のリスクも高くなる…!
改善・治療の方法
最も有効なのは 禁酒 です。
難しい場合でも「うつ状態を引き起こさない量」に抑えることが必要です。
そして、自分の力だけでコントロールできないと感じたら、早めに医療機関に相談すること が大切です。



正直なところ、私たちにとって「禁酒」という選択はなかなか難しいもの…
だからこそ大切なのは、自分の中で「ここまでなら大丈夫」という量を知ること。
さらに、「どのタイミングで気分が落ち込みやすいか」「どんな飲み方が自分に合わないのか」を知っておくことで、前もって対処できるはず。
自分の体質や心を理解したうえで工夫し、お酒を安心して楽しみたいです。
酒鬱を防ぐための生活習慣


- 禁酒が第一
- それが難しい場合は、運動 を取り入れる
定期的な運動習慣がある人は、そうでない人に比べてうつになりにくいという調査結果もあります
少しずつでも構いません。まずは運動を生活に取り入れることが予防につながります。
編集部あとがき


Wine FlightのInstagramで「飲酒後に気分が落ち込むことや不安感が増すことがありますか?」と質問したところ、
- 43%の方が「はい」
- 57%の方が「いいえ」
という結果になりました。多くの方にとって、酒鬱は身近な現象であることが分かります。
心地よくお酒を楽しむには“自分の中でのボーダーライン”をはっきりさせておくことがポイントです。
たとえば「今日はグラス2杯まで」「二軒目には行かない」といったルールをあらかじめ決めておくこと。さらに、周囲に「私はこのくらいしか飲まない」と宣言しておくことで、余計な流れに巻き込まれず、自分のペースを守ることができます。
こうした意識を持つだけで、ワインをよりスマートに、そして自分らしく楽しむことができるでしょう。
同時に、自分自身は大丈夫でも「お酒を飲んだあと気分が落ち込む人もいる」ということを知っておくことは大切です。
一緒に飲む相手への理解や配慮があれば、無理に勧めたり、気分の変化を軽く扱ったりすることなく、互いに心地よく過ごせます。


まとめ


酒鬱とは?
お酒を飲んだあとに気分が落ち込む状態を指します(医学用語ではありません)。
主な原因
ドーパミン不足やアルコールによる体調不良が関係しています。
なりやすい人の特徴
ストレスを抱えている人、人間関係で問題を抱えやすい人は発症しやすい傾向があります。
改善・予防法
禁酒、飲酒量の調整、医療機関への相談に加え、運動習慣が予防に役立ちます。
実際の声
Wine Flightのアンケートでも、40%強の方が「経験あり」と回答しました。
今回の記事は、Xフォロワー30万人超を持つ精神科医・ゆうきゆう医師(ゆうメンタルクリニック総院長) に取材協力いただきました。
信頼できる専門家の言葉をヒントにしながら、心と体の声に耳を傾けて、あなたらしいお酒との付き合い方を見つけてみてください。
取材協力|ゆうきゆう医師(ゆうメンタルクリニック総院長/精神科医)
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ゆうメンタルクリニック医師。
東京大学理科Ⅲ類(医学部)に現役入学。
東京大学医学部医学科に進学し卒業。
2008年よりゆうメンタルクリニックを開院。
また、医師業のかたわら、心理学系サイトの運営、マンガ原作、書籍執筆などさまざまな分野で活躍。
軽快な語り口とわかりやすい説明で、幅広い層からの支持を集めている。
シリーズ累計500万部を超える『マンガで分かる心療内科』(イラスト:ソウ/少年画報社)などマンガ原作、著書が多数ある。
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