
プライベートジェットCA歴9年目!
華やかに見えて意外と知られていない、プライベートジェットの世界を覗いてみませんか?
牛乳のはずがヨーグルト!? 波乱の機内クッキング


初めてスロバキアにステイをした時のことです。他のステイ先と同じように、ホテルにチェックイン後、スーパーマーケットに翌日の食料の調達に向かいました。スロバキアで売っているものには英語の表記はなく、店員さんに訪ねても英語は通じません。野菜や果物は見ればわかるので選ぶことが出来ますが、乳製品のコーナーに行くと、さっぱり何が何なのかわかりません。すると、近くで英語を話す女性を発見し、どれが「低脂肪ではない牛乳」なのかを聞くと、教えてくれたのです!
翌日、スロバキアからフライトした後、機内にて、次のフライトで提供する副菜のポテトグラタンを作り始めました。 いざ、牛乳を使おうと開けた瞬間、「ん?」なんだか様子がおかしいのです。想像をしていなかった酸っぱい匂いがしたので、恐る恐る味見をしてみると…なんと、無糖のヨーグルトだったのです‼教えてもらったはずなのに、手に持っているものは牛乳ではなかったのです。しかし空港の周りにスーパーマーケットなどもなく、人もいない状況でしたので、どうにか機内にあるもので代用できないかと考えた結果、あるものを使用することにしました。さぁ何でしょう?
それは、コーヒーに使用するポーションクリームです。機内に搭載しているものは生クリーム使用のものだったので、こちらを水で薄めてどうにか事なきを得て、グラタンも形になりました。こんな裏話はもちろん旅客には内緒ですが…
凍った冷やし中華⁉ 笑顔の裏で起きていたこと


それはまだまだ序の口でして、とあるときのお話。東南アジア発だったので、「冷やし中華」を提供しようと、日本から必要な材料を全て持ち込み、到着後、ハンドリング会社に冷蔵保存をしてもらうよう頼み、いざ、当日。届いた食材を持って愕然としました。想像以上の冷たさと若干の重み、全てが岩のように見事に凍って到着したのです。そこからは電子レンジと格闘したものの、予定通りにものごとが進まず、かなり苦戦しました。幸い、トマトやキュウリ、副菜に使用する野菜などは常温で保存していたので、どうにかこうにか提供することが出来ましたが、エアラインのように「出発準備に時間を要しているため機内へのご案内が遅くなる」と旅客に伝えたい1日でした。そうとも知らない旅客は予定より40分も早くに機内に到着…私の笑顔はきっと引きつっていたことでしょう…
発注ミス発覚…機内食ゼロの危機と奇跡のリカバリー


こんなこともありました。通常、ケータリング会社にお食事を発注する際に、お届けいただきたい時間をお伝えするのですが、ミュンヘン発で、機内準備をしていると、お願いした時間をとっくに過ぎているにもかかわらず、機内食が届かないのです。メールをさかのぼり、時間を再確認するも、その時間は有に過ぎていたので、連絡をすることにしました。すると、お食事の発注自体ができていなかったのです!メールを送信していた相手は、なんと同僚のみという痛恨の私のミスでした。
この日は帰国日で、長距離線のため、2食は必要だったため、すぐに事の重大さをパイロットに伝え、ハンドリング会社の担当の方に話してみると、空港で調達できるとのこと。
この担当の方の対応が素晴らしかったことと、なんとミュンヘン空港にはレストランもあり、高級食材のスーパーマーケットまでもあり充実していたこととで、救われました!レストランでは、事情を説明すると一番にオーダーを通してくださったり、スーパーマーケットでは、担当の方がカートを押して買い物しやすくしてくださったり…一瞬冷汗が止まらず、手まで震えましたが、人の温かさに触れて涙しそうになりました。
旅客6名+クルー4名分の買い物の量は、紙袋8個分、ビニール袋7個分。コース料理もチーズ、デザートまで揃えることができ、無事搭載でき、この時も事なきを得ました。



こんな話ばかりで、よくプライベートジェットの客室乗務員が務まるなぁと呆れられてしまいそうですが、また機会があったらお話しさせていただきたいです。最後までお読みくださり、ありがとうございました。