
プライベートジェットCA歴9年目!
前回に続き、このような機会を頂けて嬉しく思っております。ご覧いただきありがとうございます。
華やかに見えて意外と知られていない、プライベートジェットの世界を覗いてみませんか?
「CA」と「FA」の違い、ご存じですか?


さて、「CA(Cabin Attendant)」と「FA (Flight Attendant) 」とは意味が違うのをご存じでしょうか?日本では、客室乗務員のことを「CA」と呼ぶので、「CA」の方が馴染み深いと思いますが、英語だと「FA」と呼ぶことが多いように感じます。
先日、定期安全訓練がありまして、その際に、あるインストラクターがこれらの大きな違いについて話してくださいました。エアラインの客室乗務員は客室のみに関わるので「CA(Cabin Attendant)」、プライベートジェットの客室乗務員はフライト全体に関わるので「FA (Flight Attendant) 」と呼ぶのが本来の呼び方だそう…
そんなフライト全体に関わっている私は、あらゆる場面で様々な体験をしているように思います。今回は、そんな私の体験談や失敗談についてお話しします。
驚きの短距離フライト!18分でお食事サービス?


エアラインは、短距離線ではお飲み物やキャンディのサービスをして、お食事のサービスはほぼしないと思います。私が経験した最短の飛行時間は18分で、さらには満席(14名)でお食事のサービスがありました!飛行時間20分を切るとなると、ほとんど水平飛行の時間はありません。搭乗後すぐにお飲み物のご希望を伺い、地上で作っておいたお弁当と冷たいお飲み物を配り、上空では、温かいお飲み物を提供し、空箱の回収を怒涛のごとく行い、着席の時間を迎える、まるで嵐が過ぎ去ったような感覚でした。同乗の客室乗務員がいれば、この大変さを共有できますが、いつも1人なので、ただ立ち向かい、終えていくことには少し寂しさも感じることもあります。
フライトごとに変わるサービス、柔軟な対応が求められる世界


私は、某ビジネスジェットに専属で乗っているので、旅客は、ジェットを所有する会社の社員がメインです。エアラインでは、お食事のチョイスがうまくいかずクレームに繋がることもしばしばですが、その心配がなく、気持ちに余裕を持てるのは嬉しいところです。またお食事の選択肢を作るも作らないも自分次第ですので、満席に近い短距離線では、ほぼチョイスは作りません。お食事、デザートの選択肢がある場合、フードロスも鑑みて、余剰を多くは調達しない為、最後の方で選択肢が少なくなることもありますが、旅客同士が譲り合ってくれるので、とてもありがたいです。
また、酒類は、エアラインのように同じ銘柄を数多く載せているわけではなく、シャンパーニュやワインなどは、毎回搭載したものを提供するため、お食事の際に旅客同士で何を飲むかを決めてくれるのはサービスしやすい点でもあります。
事前に税関申告をするのも客室乗務員の仕事で、日本を出国時は搭載するもの全て、入国時は機内からとり卸すもの全てを申告します。中でもお酒に関しては、銘柄、内容量、アルコール度数、本数、値段など詳細に伝える必要があるため、なるべく1回のフライトで使い切るような量を搭載しています。
まるで“ご飯を作るお母さん”!ハードな旅程を飛ぶプライベートジェットCAのリアル


そんなビジネスジェットは、余暇を過ごすために飛ばす飛行機ではないので、旅程がすごいのです!ヨーロッパに飛べば、翌日から毎日フライトで、1日2LEG(本)、3LEG(本)飛ぶこともあります。近隣諸国への移動なので、飛行時間は長くても2時間ほどです。
オフが1日2日あることもありますが、とにかく飛び続けます!客室のことは私しかできないので、1LEG終わって旅客を送り出したら清掃と片付けをします。私が乗っているジェットは、小さな空港や軍用空港を使用することが多く、ケータリングがないので、次のフライトのためのお食事作りもします。
これが1日2LEG飛ぶなら2回、3LEG飛ぶなら3回繰り返されます。しかもほぼ満席…
私は、「働くみんなのために、ご飯を作るお母さん」です!こんな日は、地上で数時間の待機時間があってもほぼ立ちっぱなしで動き回っているので、座れる時間はわずか離着陸の時のみ。機内では、旅客+パイロットの合計17人のお母さんをしています。



次回は、凍った冷やし中華に消えた機内食…予定外の連続!? お客様には言えないプライベートジェットCAの舞台裏をご紹介します。